2007年04月10日

よだかの星

カクテルのCM内の「こーのおいしさでかーろりーおふ」という優香の歌声が耳について離れないまる子ですこんばんは。CMはインパクト勝負、覚えてもらってナンボの世界ゆえ、こういう『極端に低い能力をアピールする』という手法も有効なんだろうな。ただ『何を覚えてもらうか』より『どう覚えてもらうか』の方が重要な気もするのだが。

宮沢賢治の『よだかの星』を読んでまた泣いてしまう。たぶん一生、私はこの物語を読むと泣いてしまうだろうなあ。最初に買って読んだのは高校1年のとき(本当は表題作の『銀河鉄道の夜』目当てで買った)で、寝る前に読んでボロボロ泣いてしまい、翌日ええ感じにまぶたを腫らしてしまった覚えがある。

主人公は、でしゃばらずひっそり日々を送っている善良なよだかなのだが、彼の人生があまりにもつらいのだ。周囲は容赦なくよだかを見下し傷つけ笑い者にする。彼の心情を救う者は誰一人いない。その上、よだかは虫を食べて生きる自分の宿命に自分自身で傷つき悩み苦しむようになり、夜空の星になろうと願うのだが、ここの展開も実に切ない。

よだかは、星にも相手にされないのである。小さな体で何度も何度も必死に空へと登り、あらゆる星々に全身全霊で頼み込むのだが、そこでも適当にあしらわれてしまうのだ。焼けて死んでも構わないと訴えるよだかの話を真剣に聞く者は、最初から最後まで一人も現れないのである。私にはそれが一番悲しかった。

最後の最後に、よだかは星になることはできた。だがそのシーンは「よかった」などとはけして思えない、たまらなく悲しい場面である。宮沢賢治は予定調和の大団円を描かない作家で、善良な人が愛されるとは限らない、真剣で切実な努力が実るとばかりはいえない、という大変シビアなものの見方をする人である。しかしそれが世界の否定へとは直結しないのだ。だからこそ余計に切なく胸が詰まるのである。


posted by まる子 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(マンガ含む) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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