外出先で思いもかけず、小学生のときの担任に会った。私のことを覚えていた彼はもう定年を迎えられたとかで、確かに歳月を感じさせる程度に歳をとられていた。ま、その分俺も確実に老けていってるわけだけども。卒業時子供だったのにもうおばちゃんになっとるわけだからね。
実は私は小・中学時代、教師という存在と本当に相性が悪く、たいていの担任教師と仲が悪かった。高校になるとそれが嘘のように教師と仲良くなるのだから環境ってのは恐ろしいものだ。私の場合、わかりやすい反逆児ではなかったので教師も怒鳴ったり殴ったりなんてことは一切なかったが、地味に私を嫌がり、避けたりこっそり意地悪をする教師がものすごく多かった。今日再会した先生もその一人で、だから正直大して嬉しくなかったし、話したところで恨み言になりそうだったのであまり喋りたくなかったのが本音だ。
でもまあ、冗談に混ぜて言うくらいは許されるだろう、とちょこっとその話を持ち出したら、その教師は意外なことを言い出した。曰く、先生は私のことが怖かったのだそうだ。嘘とかごまかしとか生徒に対する好き嫌いをすぐに見抜いてしまうような目つきをしていたらしい。そしてそれを口に出して「先生の嘘つき」とか糾弾してくれるならまだ救われるが、私の場合黙ったまま「あ、そう。先生はそういう人ね。じゃあ今度からこっちも態度を考えます」というような雰囲気を持っていたと言う。メチャメチャいやなガキじゃないか俺。まあ、あの頃は相当神経過敏な時期だったからなあ。
しかし私自身はそんなつもりは全くなかったのでとても意外に感じ「私はそんな鋭い人間じゃなかったですよ」と言ったのだが「そう、君は自分で気づいてなかった。だから手加減がなくて怖かった」とまた「怖かった」発言を食らってしまった。じゃあ子供の頃私を避けていた教師は全員が全員そうじゃないにせよ、私を恐れてそうしたのだろうか、とその場であっという間に悶々としてしまいましたぜ。なんか自分に関して意外な真相を聞いたような変な気分だった。